こんにちは! 初めまして。

セルジオさんと隔週でお目にかかることになりました

bluebirder *S です。

自然大好き人間です。どうぞよろしくお願い致します。

写真は 私が南三陸町志津川で撮影しました。

今年も 冬の使者コクガンがやってきました。

宮城県本吉郡南三陸町の志津川湾は、知る人ぞ知る国の天然記念物 コクガンの越冬地。

浅瀬には、そのコクガンの大好物のアマモが自生しています。

アマモを食べながら 冬を過ごすというわけです。

志津川湾は環境省が選定した 重要湿地。

 

アマモだけでも、4種類。アマモ、タチアマモ、スゲアマモ、スガモが生育しています。

こうしたアマモ場のほか、コンブ場、アラメ場、ガラモ場という4つのタイプの藻場がよく発達しています。南限北限の藻類、コンブとアラメが混生する貴重な場所。

さらに、東日本大震災の津波の影響を受けましたが、低生生物の種の多様性が高い干潟として回復が見込まれていて、低生動物の貴重な生息地として相当の規模を保っています。

 

低生生物というのは、サンゴや腔腸類以外にもイソギンチャクやスポンジ、ヒドラなど、岩や海底に付着して生息する生物のこと。河川、湖沼では、昆虫(カゲロウ、ユスリカなどの仲間)の幼虫、貧毛類(ミミズの仲間)、貝類、甲殻類(エビ、カニの仲間)、ウニ・ヒトデの仲間などが含まれます。植物では藻類やトチカガミ・ヒルムシロなど、動物ではサンゴ・ウニやヒラメなど。いずれも、水を浄化してくれています。

 

志津川湾では、ワカメ、カキ、ホヤ、ホタテ、アワビ、クロソイ、ギンザケ、カタクチイワシ(カツオ漁の餌、定置網に追い込み)が養殖されています。

 

これはひとえに湾の水質が良いからこそ。湾の水質は、こうした低生生物によって支えられ、浅瀬と湿地は 多様な生物の命を支えています。

 

学術的な内容になってしまいましたが、とにかく 志津川湾は、国の天然記念物で絶滅危惧種になっているコクガンの越冬も支える豊かさを持っている、ということは わかっていただけるかと思います。

コクガンは、カモ目カモ科 コクガン属、シベリア東部で繁殖し、朝鮮半島南部と日本では主に東北地方から北、渤海沿岸部で越冬します。

 

体長60センチ前後。しかし、詳しい生態はわかっていません。

 

2015年には北海道国後島で8602羽。2016年1月後半には、国内で確認されたのは887羽。翌2017年4月中旬には、ロシアへ帰る2705羽が確認されています。

 

この内100羽前後が、毎年 南三陸町の志津川湾で冬を越します。

コクガンは、ネズミガンとも呼ばれ、全体的に黒っぽいカラーリング。お腹の辺りが白くて、首には白い蝶ネクタイをしているような白い輪があって、まるでタキシードをまとったような なかなかオシャレないでたちです。

 

朝方は湾の浅瀬で群れを成してマコモを食べているようですが、何せ、警戒心が強くて、人を寄せ付けません。ですから、その姿は 遠巻きに双眼鏡やスコープで観察するしかないのが ちょっと残念なところ。

 

乱獲によってその数が激減した歴史がありますから、「乱獲」の記憶が 深く刷り込まれているのかも知れません。コクガンにしてみれば 無理も無いことでしょう。

 

でも、レンズの向こう、お尻を振りふり歩く姿は なんとも可愛らしい印象です。

地元の人たちにしてみれば、毎年見ている姿ですから「あの鳥のどこが珍しいんだい?」ということになってしまっていますが、国内で1000羽も確認されていない内の100羽以上が志津川湾で越冬するということなのですから、とにかく とても珍しく貴重な野鳥なのです。地球上の生息数は8000羽を切っているようです。

 

繰り返しになりますが、コクガンは国の天然記念物であり、絶滅危惧種にも指定されている鳥。そんなコクガンを養う自然が南三陸には現存するということです。

 

町では、志津川湾のラムサール条約登録を目指していて、早ければ来年にも登録の運びと聞いています。

 

南三陸町には豊かな自然がある、そんな確たる指標がひとつ増え、きっと、交流人口を増やして町をより元気にする良い要素にしていけそうな気がして、今からワクワクしています。

何を置いても とにかく志津川湾の景観の美しさは、天使が降りて来そうなほど。

みなさんも、是非一度、と言わず 二度三度、南三陸町を訪れてみて下さい。心 癒されること請け合いですから。