こんにちは、むっちゃんです(*^^)
先月24日と25日の2日間に渡り、
第2回東北被災地語り部フォーラムが開催されました。
本日は、その時の
分科会② 災害を知る世代から知らない世代へつなぐ
の様子をお伝えします。
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コーディネーターは
元志津川中学校校長で、現在3.11震災語り部として活動している菅原 貞芳様
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パネラーとして、
志津川高等学校、多賀城高等学校、階上中学校、志津川小学校、入谷小学校の
生徒さんにお越しいただきました。
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分科会のタイトルになっている通り、
今回のテーマは「災害を知る世代から知らない世代へつなぐ」
東日本大震災からまもなく8年が経過しようとしています。
時間の流れとともに、当時の状況を知らない世代が増え、
それに伴い懸念されるのは「風化」です。
震災を風化させないために。
当時を知らない人たちの防災、減災へ繋げられるように。
あの日生かされた私たちにいったい何ができるのか。
現在行っている活動を含め、今後についてを話し合いました。
活動の報告をしたのは、
階上中学校、多賀城高等学校、志津川高等学校の生徒さんです。
まずは階上中学校。
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階上中学校の防災学習は「命を守る」を目的とし、
「災害を知る」
「災害に備える」
「万が一のために訓練する」
を学んでいます。
今年度の防災学習のテーマは「自助・共助」
体験的学習と探究的学習の2つに分かれて行いました。
体験的学習では学年ごとに防災学習と総合防災訓練を行い、
探究的学習では地区住民へのアンケート調査を実施。
【体験的学習】
1学年は、講師の方を招いて地震津波のメカニズムを学び、
2学年は、消防署の方々からAEDを使用した救急救命講習を、
3学年は、階上小学校の子ども達へカルタを使って
防災を楽しく分かりやすく教える防災啓発活動を行いました。
総合防災訓練は、気仙沼市防災訓練に合わせた日程で午前と午後の2回。
午前は消火訓練、バケツリレー、炊き出し訓練を地区の一員として参加。
午後は委員会ごとに役割を分担し、避難所初期設営訓練を実践しました。
避難所設営に関しては、
生徒以外の誰でも分かるようにマニュアルを作成。
フローチャートを使った説明があり、
準備物や注意点が詳しく書かれてあるためとても分かりやすいです。
【探究的学習】
こちらは、昨年度から取り組みはじめた活動です。
階上地区全世帯を対象とし、
東日本大震災以前・当時の津波避難行動のアンケート調査を実施。
夏休み前にアンケートを配布、回収、集計を行い、
二学期に全校生徒で考察、10月に校内発表会を開き、その後考察の再検討。
12月の防災学習発表会に備えました。
防災学習発表会は以下の4部構成となっています。
1部:体験的学習の発表
2部:アンケート調査の報告
3部:探究的学習の発表
4部:意見交換
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結果から、防災意識は低くないが、
訓練が実践的ではないため危機感が薄れてきているのではと推察。
震災を風化させないためにも地域を知り、発信させていくことで防災意識を高め、
これからも地域の一員として取り組みを行っていくそうです。
続いて多賀城高等学校。
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多賀城高校の「災害科学科」では
災害や防災について科学的な視点で学ぶことができ、
さらに学校全体としては
「防災減災学習」
「東日本大震災の伝承」
「全国の学校などとの連携・交流」
「地域を中心とした社会貢献活動」を行っています。
これらが、
ユネスコが提唱するESD(持続可能な開発のための教育:いわゆる生きる力を養成する教育)の
理念に合致し、2017年2月にユネスコスクールに加盟が認められました。
上記活動以外にも
「通学防災マップづくり」
あ生徒が入学してすぐに行う取り組み。
あ津波浸水域や土砂災害危険区が記載された地図に自分たちの通学路を朱記し、
あ有事の際どこに危険が潜んでいるのかを知ることができる。
「津波波高標識設置活動」
あ震災後行っていた津波の高さの調査結果をもとに測量を行い、
あ道路脇の電柱に津波波高の標識を設置する活動。
を全校生徒が積極的に取り組んでいます。
また、生徒が作成した「まち歩き案内マップ」を使い、
自分たちが設置した津波波高標識をたどりながら、
多賀城市内の被災状況を説明・案内する活動も行っているそうです。
最後に志津川高等学校。
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県内唯一の地域連携型中高一貫校であり、
南三陸町内の志津川中学校、歌津中学校と、
乗り入れ授業や部活動、生徒会交流を通して連携しています。
情報ビジネス科では、震災前より南三陸町の活性化を目的として
「南三陸町モアイ化計画」を実施。
オリジナルの缶バッチやストラップの販売を行い、
町民バスや図書館の図書購入資金を町へ寄付していました。
志津川高校の防災学習として、
定期的に行っている防災訓練があります。
実際に起こりうる行方不明者の捜索など、毎年想定を変えて行い、
今年は休み時間に災害が発生したことを想定して訓練を実施。
消火栓を使った放水訓練も行いました。
他にも
弾道ミサイルや豪雨、土砂災害、火災、火山、竜巻、落雷、危険生物など
あらゆる災害について学習し、
社会に出てから「いつ、どこで、どのような」災害に遭遇しても
ある程度自分の身を守れるように考えられた内容となっています。
また、志津川高校には昨年発足した「防災クラブ」があり、
救急手当て法の知識を修得する他、
地域の子ども達を安全に導く役や、避難所でのサポート役にまわったり、
将来地域防災のリーダーを担うための能力を身につける目的で活動しています。
さらに、校内には震災指導室を設置。
当時の様子を伝える物品や、寄贈された物、
震災からこれまでの志津川高校の歩みがわかるような物を展示し、
震災の風化を防ぎ、次の世代に語り継いでいく役目を担っています。
今後は
自分たちだからできること、
行っていかなければならないことを考え、実践していくそうです。
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先日、政府から再び地震発生確率の発表がありました。
日本は地震大国ですから、いつ発生してもおかしくはありません。
それは何十年後かもしれないし、もしかしたら明日かもしれない。
その時に、自分の命を守るため。
東日本大震災で学んだ教訓を生かし、災害を知らない世代へ語り継いでいくこと。
その大切さを改めて実感することができた分科会でした。
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各学校の生徒さんも、他の学校が行っている活動を知ることができ、
アイディアを持ち帰ってぜひ実践したいと話していました。
生徒の皆さんにとっても、参加した我々にとっても、
とても有意義な時間になったと思います。
一人一人の活動によって
一人でも多くの命が守られますように。
これからも途絶えることなく、
語り部として、防災・減災活動に取り組んでいくことを誓いました。